Yチェア(CH24)は座り心地が悪い?なぜ人気なのか徹底解説

筆者がはじめてYチェアを見たのは高校生のときです。某有名な家具店に展示してあるYチェアを見て、

「なんてうつくしい椅子なんだ」

と驚いたのを記憶しています。他にも椅子はたくさん並んでいましたが、Yチェアの印象が強すぎて他の椅子のことは覚えていません。

それくらい、ずっと印象に残っていました。筆者と同じような経験をしたことがある人もいることでしょう。

しかし、Yチェアがこんなにも多くの人を惹きつけるのはなぜでしょうか?

実際に購入した筆者が解説します。

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Yチェアは座り心地が悪い?

おどろくことに、Yチェアは座り心地が悪いのでは?と気になっている人が多いようです。

値段が高いだけに当然と言えば当然でしょう。

しかし、さまざまな椅子を比較したことがないと、本当に座り心地がいいかどうかまで判断するのは難しいんですよ。

 

座り心地はいいです

筆者は数え切れないほどの椅子の座り心地を比較、検証してきました。Yチェアは2脚購入して使っていますが、座り心地は良いと感じます。

座面がペーパーコードですから、板材の座面と違ってお尻が痛くなりにくいですし、長時間座っていても疲れにくいです。

背もたれは絶妙な角度と形状でフィット感もあります。ラウンド型で前方までせり出ているフレームのおかげで、腕も置けてリラックスしやすいんです。

総合的に見て、座り心地の評価はとても高いといえます。

奥行きはやや浅めですが、背もたれが程よく傾斜しているため、ゆったり座るのに適しています。

安定した姿勢で食事しやすいのもYチェアの座り心地の特長です。

 

ゆるやかにカーブした背もたれが、背中のフィット感を高めます。心地いい背当たり感です。

 

アームに腕を置けるおかげで、肩にかかる負荷も軽減します。

 

アームの先端に手をかければ、立ち上がりの動作もラクにできます。

計算されているな〜。

 

座面はペーパーコードなので、ほどよい柔らかさがあり、底を打つような感じがありません。

硬いと長時間座るにはツラいですが、その点Yチェアは長時間快適に座っていられます。

 

クッションで座り心地を向上

Yチェアの座面はペーパーコードが標準仕様になっていますがオプションでクッションも販売しています。

本革仕様でモチっとした質感が特長の高級クッションです。15,000円以上しますが、購入するだけの価値はあります。

Yチェア専用のクッションというだけあって、サイズもぴったりです。

見た目の印象も変わります。

 

Yチェアは名作定番

Yチェアが人気の理由は「名作定番」という揺るぎないポジションに鎮座し続けているからでしょう。はっきり言って人気が廃れるような気配はみじんも感じません。

建築家やインテリアコーディネーター、家具業界で働く人たちにも、これほど愛される椅子はめずらしいです。

業界の人たちが定期的にYチェア愛を発信するため、雑誌やテレビなどを通じてYチェアを知らなかった人たちが「存在」を知ることになります。

そして次の世代へと受け継がれていくわけです。

日本ではいつから販売しているのか?

Yチェアが日本ではじめて販売されたのは1962年です。銀座松屋の「デンマーク展」で展示・販売されたのが最初と言われています(Yチェアの秘密より引用)。

当時の価格は15,000円で紙幣価値に換算すると大卒の初任給くらいですから、簡単に手が出せるものではなかったでしょう。

Yチェアが人気の理由はなぜ?

Yチェアは個人だけでなく、家具や建築、インテリア業界で働く人も好きな人はとても多いです。

自分が好きすぎてお客さんに提案したり、住宅展示場で使うという話もあるくらいですから。

そして、人気の理由を深掘りしていくと、いろいろと見えてきます。

シーンを選ばないデザインだから

Yチェアはシーンを選ばずに使えるデザインの良さが魅力です。北欧生まれの椅子ながら、シンプルゆえ和室にも似合います。

シンプル、ナチュラル、モダン。どんな部屋にも合わせやすいのです。殺風景な部屋でもYチェアが1脚あれば空間を魅力的に変える力さえあります。

どんなスタイルの部屋に置いても似合う椅子はかなり希少です。

家具店もYチェアがあれば展示スペースが華やかになることを知っています。

最近ではカラーバリエーションも増えているので、あかるいカラーのYチェアをショールームに展示してアクセントにしているところも多いです。

 

座りやすいから

Yチェアはとても座りやすいです。座面のペーパーコードはお尻をやさしく受け止めて、背もたれのフレームは体を包み込むような感覚があります。

見た目と座り心地のバランスが極めて高いので、専門家も高く評価しています。

 

お手頃な価格帯だから

はっきりいって、1脚10万円前後(グレードによる)で買えるならお手頃ではないでしょうか。

なんてったって、発売から70年以上経つ名作中の名作ですよ。30万円以上の価値があるといっても過言ではありません。

丈夫で長持ちしますから、長く使うほどコスパも高まっていきます。

しかし、最近は円安と原材料の影響で値上げ傾向にあります。いつか欲しいを考えている方は急いだほうがいいかもしれません。

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軽くて頑丈だから

Yチェアには一般的な椅子にある「家庭用」や「業務用」といった概念がありません。自宅はもちろん、図書館や飲食店など公共の場でもたくさん使われています。

裏を返すと、それだけ頑丈ということです。軽くて扱いやすいうえ頑丈とくれば重宝されるのは間違いありませんよね。

それにしても、軽いのに安定感も抜群で頑丈って、本当によくできた椅子です。

Yチェアはどのようにして誕生したのか?

Yチェア(品番CH24)はハンス・J・ウェグナー(以下、ウェグナー)が1949年にデザインし、1950年にCarl Hansen &Sonより発売されました。

発売当初はまったく売れず、販売店もあまり積極的に売りたがらなかったのだそう。

おどろくことに当時は「グロテスクな椅子」と揶揄されたこともあったようです。

それでも着々と人気を博していき、いまではCarl Hansen &Sonを代表する商品となったわけですから、おもしろいですよね。

Yチェアをデザインしたウェグナーは、採用に至らなかったチェアも含めると、数百以上も制作しています。

そんななか、Yチェア誕生のきっかけとなったモデルがあります。

チャイニーズチェア(チャイナチェア)です。

 

チャイナチェア

チャイニーズチェア(チャイナチェア)は1943年に、ウェグナーが18世紀当時の中国の椅子にインスパイアされデザインしました。

いまでは100万円以上もする希少価値の高い椅子です。

そうです。ウェグナーは、このチャイニーズチェアをブラッシュアップして、Yチェアをデザインしたのです。

本来、デザイナーは過去の創作物に類を見ない新たなデザインに創作意欲を燃やすもの。

しかし、ウェグナーは違います。「過去にデザインした椅子をよりよくすること」も念頭に置いていたのです。

 

そして、Yチェアが生まれたもう一つの背景にCARL HANSEN &SON(カール・ハンセン&サン)の存在があります。

ウェグナーに「機械で量産できるチェアをデザインしてほしい」と依頼したのです。

機械で量産すれば生産効率が上がり、たくさん販売できますからね。

結果、これまでの手作りを主体にした小ロット生産から、機械による「大量生産」を可能にしたことで、たくさんの人々が購入できるようになったのです。

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Yチェアをレビュー

椅子には大きな3つの要素があります。「見た目・座り心地・品質」です。これらの要素が椅子の評価を左右します。

 

デザイン

Yチェアを一度でも見たり座ったりしたことがある人は、うつくしい印象を持ったのではないでしょうか。

やさしく丸みのあるフォルムは魅力的で、ペーパーコードの座面は工芸品のようなうつくしさを感じます。

 

背面から前方にしなやかに伸びたアームが、実用性を兼ねてデザインしたのではないかと思うほどです。

緻密に計算されていると感じます。

 

背中が当たる部分はフラットな形状に加工しており、背中が痛くならないよう配慮されています。

 

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座面は「ペーパーコード」で職人の手によって編み込まれています。

その名の通り、ペーパーコードの素材は「紙」ですがデンマーク産のパルプ紙でとても硬く、3本をねじり合わせて1本のコードにしています。そして、座面の前後左右を綿密に張り合わせていく。

まさに職人の腕の見せどころともいえます。

ウレタンのようなクッション性はありませんが、底打ち感を感じさせずお尻が痛くなるようなことはありません。

板座に比べたら断然ペーパーコードのほうが座りやすいです。

フレームは機械を使って製造していますが、ペーパーコードの編み込みは昔から職人の手編み製造されています。

 

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座面の裏には、1脚づつシリアルNO.の入ったプレートが付いています。

サイズは?

yチェア サイズ

Yチェアの座面までの高さは45cmあります。日本人の平均身長から考えると、やや高めです。

これは欧米人の平均身長や、室内でも靴を履くといった文化の違いも関係しているためと考えられます。

座面の奥行きは40cmで一般的な椅子より4cmほど浅いです。

奥行きに余裕は感じられませんが、背もたれが背中にフィットして座りやすいメリットがあります。

 

フレームはどんな種類がある?

Yチェア カラー

種類特徴
ビーチ・ブナの仲間
・明るく清潔感がある
・使い込むほど黄褐色に変化する
ウォールナット・クルミの仲間
・高級木材
・硬く耐久性が高い
チェリー・サクラの仲間
・滑らかな肌触り
・経年変化により赤褐色になる
オーク・ナラの仲間
・木目がはっきりしている
・経年変化で濃褐色になる
アッシュ・トネリコの仲間
・木目柄が際立つ
・経年変化により灰褐色になる

Yチェアはフレームの種類によって印象がかなり違ってきます。好みを選べるのは楽しいですよね。

ちなみに、昨今の社会情勢において材料の値上がりが半端ないですが、とくにウォールナットは値上げ幅がかなり大きくなっています。

 

フレームの仕上げの種類は?

Yチェアはおもに「ソープフィニッシュ」と「オイル仕上げ」「ラッカー塗装」の3種類あります。

 

ソープフィニッシュ

石鹸水をフレームに塗り染み込ませる技法をソープフィニッシュといいます。

特徴は木本来の色と風合いをほぼ原型のまま残せるところです。

塗装に比べると膜が薄い分心許ないと感じるかもしれませんが、ソープ仕上げは木の色と質感をほぼ原型のまま残せるのが魅力です。

ただし、デメリットもあります。それは定期的なお手入れが必要なことです。

ソープ仕上げはデリケートなため、シミや汚れが付きやすく定期的なお手入れが必要になるのです。

 

お手入れの方法については下の動画が参考になります。

 

「お手入れが必要」ってデメリットと言えるかもしれません。

しかし「塗装」と違って自宅でメンテナンスできるという点では、ある意味メリットと言えるのかもしれませんね。

塗装はメンテナンス不要ですが、キズが付いたら自分で補修するのは困難ですから。

 

オイル仕上げ

オイル仕上げは植物性のオイルを木に塗りこませる手法です。Yチェアのなかでとくに人気の仕上げになります。

一般的な家具の塗装は表面に塗膜を作りますが、オイル仕上げは塗膜を作りません。

そのため、環境に配慮しながら本来の木の風合いを活かすことができるのです。

オイル仕上げは、ソープ仕上げよりも経年による色の変化が大きいのも特徴の一つです。

使うほどにいい感じに仕上がっていく様子を楽しめますね。

 

ラッカー塗装

ここ最近、ラッカー塗装のYチェアが増えてきました。

鮮やかなブルーやイエロー。フォーマルなブラックなど、目を引くカラーはすべてラッカー塗装になります。

Carl Hansen &Sonから毎月異なる「限定カラー」が発売される企画もありました。

色があると華やかですよね。しかし、ラッカー塗装はぶつけると色がはがれるため注意が必要です。

Yチェア(CH24)はどこで買える?

Yチェアは、正規販売店から購入することをおすすめします。間違っても安いからといって偽物を買わないようご注意ください。

いずれにせよ、正規販売店は保証やアフターメンテナンスの面で安心です。

筆者がおすすめする正規販売店は以下になります。

 

CONNECT

CONNECTは、北欧家具を中心に販売する老舗の専門店です。そうそうたる北欧家具メーカーをズラリと販売していますが、もちろんYチェアもあります。

人気のショップなので、ぜひチェックしてみてください。

 

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ACTUS

ACTUS は知っている人も多い家具&インテリアショップです。Yチェアは店頭に展示してあるので、実際にチェックしてから購入できます。

もちろんOnlineでの購入も可能です。

 

 

まとめ:Yチェアはやっぱり名作椅子です

70年近く前にデザインされた椅子が、いまでも世界中で愛されているって素晴らしいことですよね。

時代を感じさせないまさにタイムレスなチェアといえるのではないでしょうか。

一度手に入れたら、家族の一員としてず〜っと使いたい。Yチェアにはそんな魅力があります。

 

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