デンマークといえば、北欧を代表する家具メーカーが勢揃い。
デンマークを代表する家具メーカー、FRITZ HANSEN(以下、フリッツ・ハンセン)社にはアルネ・ヤコブセンの名作チェアが有名です。
なかでもとくに有名なのが…
そうです、セブンチェアです。
ヤコブセンは、ほかにも素晴らしいチェアを開発していますが、なかでもセブンチェアは本当に格別です。
本記事では、そんなセブンチェアについて徹底解説します。
・家具業界で20年以上働いているマーケター
・商品開発やアドバイザーなど幅広い分野で活動中
目次
セブンチェアとは?
セブンチェアは、1955年にデンマークの建築家アルネ・ヤコブセンによってデザインされ、フリッツハンセンから誕生した成形合板のチェアです。
アルネ・ヤコブセンは1952年に成形合板の技術を用いたアントチェアを開発していますが、セブンチェアはそのアントチェアの弱点を補った進化版チェアともいわれています。
つまり、
「アントチェアをベースに誕生したモデル」
ということです。
合板を重ねて成形する「成形合板」を用いたデザインは、1950年代当時としては画期的でした。
今のように生産技術がなかった当時、イームズ夫妻が成形合板のチェアをデザインしたところ、ヤコブセンも大きな影響を受けたのです。
そしてヤコブセンは、セブンチェアの前身モデルとなるアントチェアをデザインします。
アントチェアは大ヒットしたものの、3本脚で安定面で不安を抱えていたため、周囲から「アントチェアを4本脚にしてほしい」とオファーを受けますが…
「はじめから3本脚の設定で作ったチェアを4本脚にしたらデザインが変やろ」
「人間の足入れたら5本脚になるやろうが」
とヤコブセンは断固として拒否。
そこで4本脚に合うデザインとしてセブンチェアをデザインしたのです。
発売から60年以上経ったいまでも古さを感じさせず、むしろ洗練された印象さえ覚えます。
まさに名作中の名作です。
なお商品名の「セブンチェア」は、
「7枚の合板を重ねているから」
「カラー展開が7色だから」
と諸説ありますが、そうではく製造ナンバーから決まったというのが有力なようです。
そもそもセブンチェアは9枚の合板を重ねていますし、カラー展開ももっと多いですからね…。
デザイン
セブンチェアには角のない丸みを帯びたフォルムが優しく、どんなインテリアにも溶け込む魅力があります。
身体にフィットする絶妙なラインで加工された成形合板は、技術の高さをうかがい知ることができます。
大胆な形でありながら、繊細さも併せ持つ美しいチェアは唯一無二の存在と言えるでしょう。
ドラマや映画、雑誌などでもよく登場しますが、あらゆるシーンで使える洗練されたデザインこそが欲しくなる一番の理由でしょう。
カラー
定番カラーはシートが16色、フレームは7色から選ぶことができます。
インテリアデザイナーやショップとのコラボで限定カラーを販売することもあります。
仕様
サイズ | 幅:50cm 奥行:52cm 高さ:82(座高46)cm |
材質 | 本体:成形合板 脚部:スチール(クロム仕上げ・塗装) |
スタッキング | 12脚まで可能 |
重量 | 4Kg |
デザイナー | Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン) |
メーカー | FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン) |
品質
繊細なデザインでありながら、高品質であるのがセブンチェアの魅力です。
9層からなる成形合板を重ね合わせることで剛性と耐久性を両立。
脚フレームのパイプも太く、ドシっと座ってもビクともしません。
セブンチェアの座り心地
総合評価
お尻のフィット感、背中の当たり具合、安定性どれをとっても心地良く非常にバランスの良いチェアです。
以下、詳しく解説します。
背もたれの当たり具合
背もたれは剛性があり、適度にしなります。
しなり具合のおかげで硬い感じはなく、心地良いフィット感が得られます。
お尻のフィット感
座面はお尻の形状に沿って加工されており、抜群のフィット感です。
適度にすっぽりとはまり、腰部もほどよくサポートします。
横から見ると分かりますが、座面は立体成形になっており、いかに座り心地を追求しているかをうかがい知れます。
太ももの当たり具合
座面の前方部部分は前垂れしていて、太ももを圧迫しません。
この形状のおかげで、長時間座り続けても疲れにくいメリットがあります。
セブンチェアのデメリット
デザイン・品質・座り心地どれをとっても非の打ちどころがないチェアですが、デメリットは3つあります。
価格が高い
とても素晴らしいチェアですが、価格は安くありません。
一番安いタイプでも70,000円以上します。
しかし高品質で長く使えるため、長い目で見ればコスパが良いという見方もできます。
座面までの高さが高い
座面の高さについては標準で46cmと、日本人の平均身長を考えるとやや高め。
靴を履いた状態だとかかとが足に着かない場合があるので、試座するときは靴を脱いで試すことをおすすめします。
なお、はじめから43cmに設定して販売しているショップもありますよ。
ノーリー
パッドなしモデルは長時間向きではない
セブンチェアは身体がすっぽりと包まれるような、とても座り心地が良いチェアです。
しかしパッドなしのモデルは長時間座り続けるにはあまり適しません。
なぜなら素材が板だからです。長時間はお尻が痛くなってきます。
長時間座るのであれば全体がレザーで覆われたフルパティングモデルを選びましょう。
セブンチェアはどこで買える?
セブンチェアはFRITZ HANSEN(フリッツハンセン)の正規販売店から購入できます。
全国に店舗があるショップだとActusが有名です。
実際に座り心地を確認できるので、店頭へ足を運べる方は試してみてください。
アクタスは通販でも購入できます。
北欧家具の老舗CONNECTもおすすめ
COONNCTは香川県に拠点を置く老舗の北欧家具通販です。
フリッツハンセンの正規販売店なのでアフターサービスもしっかりしています。
セブンチェアもかなりのバリエーションを販売しているので、ぜひチェックしてみてください。
セブンチェア本物とコピー品の違い
セブンチェアは名作チェアとして、多くの国で販売されています。
しかし人気の高さゆえリプロダクト(コピー品)が多く出回っているのも事実です。
価格は安いもので1/3以下から買えるものも。
リプロダクトと本物の違いは「座り心地」「品質」「耐久性」。
つまり見た目こそ似ていますが、すべての面において本物にはかなわないということ。
デザインは似せて作ることはできても、成形合板の絶妙な角度まで完璧に再現するのは不可能です。
「本物は欲しいけど高い…」
「雰囲気だけでも味わいたい」
という方は、リプロダクトを検討してみても良いでしょう。
ただし品質に過度の期待をするのは禁物です。
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まとめ
セブンチェアのなにがすごいって、60年以上の月日を経てもまったくデザインが色褪せないところ。
シンプルなデザインで、どんなインテリアシーンにも合わせやすいのはとても魅力的です。
カラーバリエーションが豊富なところも、空間に合わせやすくて良いですよね。
一生モノのチェアとして、購入する価値は十分にあるチェアといえます。
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